大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和52年(ク)331号 決定 1977年11月14日

主文

本件抗告を却下する。

抗告費用は抗告人の負担とする。

理由

最高裁判所が抗告に関して裁判権をもつのは、訴訟法において特に最高裁判所に抗告を申し立てることを許した場合に限られ、民事事件については、民訴法四一九条ノ二に定められている抗告のみが右の場合にあたる。ところで、本件抗告理由は、まず、競売手続における利害関係人の範囲を定めた規定が憲法三二条に違反すると主張するところ、競売法二七条四項、民訴法六四八条が所論のいう規定にあたるが、同各規定は、憲法三二条所定の裁判を受ける権利があるかどうかとはなんら関係がなく(最高裁判所昭和三八年(ク)第一二号同三九年一月二八日第三小法廷決定・裁判集民事七一号四三九頁)、所論違憲の主張はその前提を欠くものであり(なお、その余の所論引用の競売法・民訴法の規定は利害関係人の範囲を定めたものではない。)、その余の抗告理由は、違憲をいうようなところもあるが、その実質は原決定の単なる違法、不当を主張するものにすぎず、民訴法四一九条ノ二所定の場合にあたらないと認められるから、本件抗告を不適法として却下し、抗告費用は抗告人に負担させることとし、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 吉田 豊 裁判官 本林 譲 裁判官 栗本一夫)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例